TTC015B C級プッシュプルアンプ(2W級)の設計とブレッドボードテスト
SEPPは区切りをつけましたので,TTC015Bを使った2WクラスのC級プッシュプルをテストしてみました.周波数は10.1MHzです.
ゼロバイアスでC級動作させるのですが,B級プッシュプルの設計公式に基づいて入出力トランスの巻数比決定に必要なパラメータを確認します.
電源電圧,コレクタ・エミッタ間飽和電圧,出力電力をそれぞれ\(V_\textit{CC}\),\(V_{\textit{CE}\text{sat}}\),\(P_o\)とすると,コレクタ負荷抵抗\(R_L\)は
\begin{equation}
R_L= \dfrac{(V_\textit{CC} - V_{\textit{CE}\text{sat}})^2}{2P_o}
\end{equation}
となります.
\(V_\textit{CC} = 12\,\text{V}\),\(V_{\textit{CE}\text{sat}} = 2\,\text{V}\),\(P_o = 2\,\text{W}\)の場合,\(R_L = \dfrac{(12 - 2)^2}{2 \times 2} = 25\,\text{Ω}\)となります.
コレクタ電流の最大値\(I_{\textit{C}\text{max}}\)は
\begin{equation}
I_{\textit{C}\text{max}} = \dfrac{V_\textit{CC} - V_{\textit{CE}\text{sat}}}{R_L}
\end{equation}
となりますので,この場合\(I_{\textit{C}\text{max}} = \dfrac{12 - 2}{25} = 0.4\,\text{A} \)です.
コレクタ電流の平均値は,トランジスタ1本あたり\( \overline{I_\textit{C}} =\dfrac{I_{\textit{C}\text{max}}}{\pi} \approx 127.3\,\text{mA} \),プッシュプル全体ではその2倍の\(254.6\,\text{mA}\)となります.
トランジスタのエミッタ抵抗\(r_e\)は
\begin{equation}
r_e = \dfrac{V_T}{\overline{I_\textit{C}}},\quad V_T \approx 26\,\text{mV}
\end{equation}
ですので,この場合\(r_e \approx 0.204\,\text{Ω}\)です.
ベースから見込んだ入力抵抗\(r_i\)は,トランジスタの\(h_\textit{fe} = \dfrac{f_T}{f}\)を用いて
\begin{equation}
r_i = (1 + h_\textit{fe}) r_e
\end{equation}
ですから,\(f_T = 100\,\text{MHz}\)として\(r_i \approx 2.22\,\text{Ω}\)になります.
必要なパラメータが揃いましたので,入出力トランスの巻数比を決めます.
入力側は\(Z_0 = 50\,\text{Ω}\)を\(2.22\,\text{Ω}\)に変換するので,\(\sqrt{\dfrac{50}{2.22}} \approx 4.75\)で巻数比を5:1にします.若干ミスマッチがありますが,気にしないこととします.
出力側は\(25\,\text{Ω}\)を\(Z_0 = 50\,\text{Ω}\)に変換するので,\(\sqrt{\dfrac{25}{50}} \approx 0.707\)で巻数比を5:7にします.
これらより,入力トランスは10回:2回バイファイラ,出力トランスは5回バイファイラ:7回となります.コアはFT-50-43(FairRite 5943000301)を用いることにします.
回路図です:
測定結果です:
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| 出力,利得及びコレクタ効率 | 基本波及び高調波出力 |
20dBmの入力で2W出力,利得13dB,コレクタ効率64%を得ることができました.この時第2高調波は−27dBcに抑圧できており,偶数次高調波が抑圧されるプッシュプルの特徴がよく現れています.トランジスタ1本あたりのコレクタ損失も0.56Wなので,放熱器なしで使えそうです.
23dBm入力時の入出力波形と出力スペクトラムです:
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| 入出力波形 | 出力スペクトラム |
出力波形(CH.1)を見ると,フィルタなしには使えないことが一目瞭然です.入力波形(CH.2)にも影響が出ています.
SEPPより出来が良いのと,ソルダーレスブレッドボードで10MHz帯2Wが出力できていることにちょっと驚きました.SEPPでは3.5MHzでしか2Wを出せず,7MHzでは1W程度にダウンしていましたので.実機製作はこれで考えていくことにします(Europa30とかAinSebbaの実績もあるし).次は基板実装してのテストですね.
AR de JH5ESM VA





