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TO-92用放熱器

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( 承前 ) 昨日のPN2222プッシュプルでは,最大コレクタ損失625mWに対して実際の損失が590mWでした.これは何らかの放熱対策が必要です. TO-92用の放熱器というのも売られているようですが(例えば これ とか これ ), 高さがあるのでロープロファイルにするのが難しいです. 昔,小型ミノムシクリップの中身を使ったことがありますが,あまり放熱してくれなかった経験があります.ふと雑多な文房具の入っている箱を眺めていたら,ダブルクリップはどうだろうというのが思い浮かびましたので,試してみました. 使ったのは幅15mmの「豆」サイズと言われるもの(幅13mmの「極豆」サイズというのも市販されているようです).TO-92パッケージを挟んだら,ラジオペンチでダブルクリップの持ち手を外します.シリコングリスの塗布はしていません. TO-92単体だと指で触れないくらい熱くなりますし出力低下も大きいですが, ダブルクリップ付きだと30分連続動作で触ってもほんのり暖かい程度,出力低下も0.1〜0.2dB程度でした.ダブルクリップの幅の分だけ余分なスペースが必要ですが,これなら使えそうです. 振動や衝撃等でクリップがトランジスタから外れないようにしたり,他の部品等に接触することがないようにレイアウト等を考える必要はあります. AR de JH5ESM VA

ブレッドボードで50MHz C級プッシュプルの実験

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手元の信号源(ファンクションジェネレータ)は50MHzまで出力できるので, 昨日のブレッドボード を少し変更して50MHz 1WクラスのC級PPに変更してみました(写真上).トランジスタは PN2222 ,出力トランスはFT-50-43に7回トリファイラです(周波数的には5回巻きでいいのですが, 2W級SEPPの実験 で使用したものを流用).入力トランスは10t:2tバイファイラで昨日と変更していません.トランジスタはECB配列とEBC配列のどちらでもいいように,ブレッドボード上にエミッタのラインを2本用意しました. スペアナ画面 オシロ波形 スペアナの補正値(前置したアッテネータ減衰量等)は20.3dBですので,ブレッドボードでほぼ1W出力されていることになります.50MHzのPA実験でソルダーレスブレッドボードが使えるとは,予想外の結果でした(共振回路は内部電極の寄生容量を考慮しないといけませんが).入力信号レベルは23dBmです.基板実装時はこれとは異なる結果になるかもしれません. 30MHz付近,60MHz付近,90MHz付近等にレベルは小さいですが何か出ています.切分け試験をしているわけではないのですが,信号源のスプリアスの可能性があります(あとで確認しておかなくちゃ). オシロは帯域が200MHzですので,波形に高次高調波は見えていません.スペアナの方も4次・5次の成分はごく僅かで,6次が少し見えた後,7次以降は存在が分かる程度です.ここには電極間容量の影響があるかもしれません. コレクタ電流は180mAでしたので直流入力は2.16W,RF出力は0.98Wですからコレクタ効率は45%程度と少し悪いです.トランジスタ1本あたりのコレクタ損失は0.59Wとなり,許容損失ギリギリの状態です(PN2222の最大コレクタ損失は625mW). 試しに2パラプッシュにしてみたのですが,逆に出力が全然出ませんでした(苦笑)  秋月で売っている BTC2328AK3-0 がP Cmax 1Wでf T 270MHzを謳っていますので,入手できたら試してみたいです(骨董品の2SC1973もあるんですけどね). 【お遊び】 お...

TTC015B C級プッシュプルアンプ(2W級)の設計とブレッドボードテスト

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SEPPは区切りをつけましたので,TTC015Bを使った2WクラスのC級プッシュプルをテストしてみました.周波数は10.1MHzです. ゼロバイアスでC級動作させるのですが,B級プッシュプルの設計公式に基づいて入出力トランスの巻数比決定に必要なパラメータを確認します. 電源電圧,コレクタ・エミッタ間飽和電圧,出力電力をそれぞれ\(V_\textit{CC}\),\(V_{\textit{CE}\text{sat}}\),\(P_o\)とすると,コレクタ負荷抵抗\(R_L\)は \begin{equation} R_L= \dfrac{(V_\textit{CC} - V_{\textit{CE}\text{sat}})^2}{2P_o} \end{equation} となります. \(V_\textit{CC} = 12\,\text{V}\),\(V_{\textit{CE}\text{sat}} = 2\,\text{V}\),\(P_o = 2\,\text{W}\)の場合,\(R_L = \dfrac{(12 - 2)^2}{2 \times 2} = 25\,\text{Ω}\)となります. コレクタ電流の最大値\(I_{\textit{C}\text{max}}\)は \begin{equation} I_{\textit{C}\text{max}} = \dfrac{V_\textit{CC} - V_{\textit{CE}\text{sat}}}{R_L} \end{equation} となりますので,この場合\(I_{\textit{C}\text{max}} = \dfrac{12 - 2}{25} = 0.4\,\text{A} \)です. コレクタ電流の平均値は,トランジスタ1本あたり\( \overline{I_\textit{C}} =\dfrac{I_{\textit{C}\text{max}}}{\pi} \approx 127.3\,\text{mA} \),プッシュプル全体ではその2倍の\(254.6\,\text{mA}\)となります. トランジスタのエミッタ抵抗\(r_e\)は \begin{equation} r_e = \dfrac{V_T}{\overline{I...

C級SEPPのブレッドボードテスト@3.5MHz

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2W級のC級SEPPアンプのソルダーレスブレッドボードテストを行いましたので,その結果をまとめてみました.デバイスは{TTC015B, TTA008B},{2SC2120×2, 2SA950×2},{2SC2655, 2SA1050}です.2SC2120と2SA950は東芝のオリジナル,2SC2655と2SA1050はUTCのセカンドソースになります. 使用したソルダーレスブレッドボードはEIC-801(1654048010) ,周波数は3.5MHz,電源電圧は12.0Vです.ソルダーレスブレッドボードは内部電極間の寄生容量が大きいので,以下の結果は基板実装時と異なることに注意してご覧ください. 回路図です.TTC015B/TTA008Bで描いていますが,トランジスタは差替えて試験しています. 出力電圧,利得,コレクタ効率(基本波出力/直流入力)です: TTC015B / TTA008B 2SC2120×2 / 2SA950×2 2SC2655 / 2SA1050 いずれも23dBm(200mW)入力で2W級の出力が得られていますが,23dBm入力時の出力とコレクタ効率は{2SC2120×2, 2SA950×2}が最も良好です. 基本波,第2高調波,第3高調波の特性です: TTC015B / TTA008B 2SC2120×2 / 2SA950×2 2SC2655 / 2SA1050 プッシュプルの特徴である偶数次高調波の抑圧は見えています. ですが,{2SC2120×2, 2SA950×2}では入力20dBm以上では第2高調波と第3高調波のレベルがあまり変わりません.第2高調波は約–18dBcですので,LPFで30dB以上落とす必要があります.少し入力を絞って21dBm入力にすれば(出力は2W得られている),第2高調波は–26dBcとなりますので5次LPFですみそうです. 23dBm入力時のデータを表にしてみました: デバイス ...

2SC2120/2SA950に乗り換えるか?

( 承前 ) 思い立ってトランジスタを2SC2120と2SA950に差し替えて2パラSEPPにしてみたら,こちらの方があっさりと2Wを出してくれました orz 元々うちでは実績のあるトランジスタですし( これ とか これ ),袋入りの東芝製を保有しているので,こっちに乗り換えた方が素直にできそうです. セカンドソース品でも同様にできるかどうかは,うちにはないのでテストできません(人柱募集中). まずはちゃんと測定して,TTC015B/TTA008Bと比較してみましょう.

CW用アクティブオーディオフィルタの検討

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ダイレクトコンバージョン受信機の復調直後や短波ラジオ等に後付けするCW用アクティブフィルタを検討してみました.昔,愛好者3号用のアクセサリとしてFCZ研究所の27mHインダクタを使ったパッシブBPFを作りましたが,そのアクティブフィルタ版です. 原型となるLC BPFです.M結合型を用いるのは,高域側を急峻に減衰させるためです.中心周波数860Hz,帯域幅450Hzで設計していますが,実際のフィルタ特性はインピーダンス反転回路による直並列変換のためズレます(cf. 4次バタワース型LC BPF設計スプレッドシート ).この回路定数でSpiceシミュレーションすると−3dB遮断周波数が602Hz/1059Hzとなり,中心周波数799Hz,帯域幅457Hzになります.私は800Hzが好みなので,これで進めていくことにします. この回路の節点方程式と回路定数をGeminiに投げて伝達関数を計算させ(節点方程式はLaTeXの数式記法で与え,Geminiにタイプセットさせて認識させた),その分母多項式から2次区間のパラメータを求めました.ですが連立方程式の解や分母多項式の2次多項式への分解,2次区間パラメータの計算に間違いが多く,LC BPFとのフィッティングが終わるまで何度も再計算させることが必要でした(フィッティングを行った理由はまさにここにあります.AIが出した結果を鵜呑みにしてはいけない:特にこの手の計算問題では).フィッティングは2次区間パラメータを用いてPythonで計算した周波数特性とLC BPFのSpiceシミュレーション結果を同一グラフ上で重ねて行いました.フィッティング後のパラメータは表のとおりです. Stage 共振周波数 Q 回路 1st 682.9Hz 2.15 多重帰還型BPF 2nd 1006.6Hz 3.16 Sallen-Key LPF 回路図です(片電源対応にしていない原理図).キャパシタはnF単位で書いていますが,初段は0.068μF,後段は0.047μFです.抵抗をE24系列に丸め...

4次バタワース型LC BPF設計スプレッドシート

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4次バタワース型LC BPFを設計するスプレッドシートです. 帯域幅,中心周波数及び終端抵抗を入力すれば,M結合型(高域を急峻に遮断)とC結合型(中心周波数を軸に対数周波数軸上で対称)の素子値を計算します. 低周波はもちろん,高周波でも使うことを想定していますので,帯域幅と中心周波数はHz単位で入力するようになっています.計算結果の単位もΩ,H,Fです(値は指数形式). 一点注意事項があります.このフィルタの素子値計算は2次バタワース型LPFに周波数変換(LP-BP)を適用した後,直列枝のLC直列回路をインピーダンス反転回路(虚ジャイレータ)を用いてLC並列のシャント枝に変換しています.このインピーダンス反転回路がLP-HP変換の周波数マッピングを少し変更してしまいますので,実際のフィルタ中心周波数と帯域幅は設計値で与えたものから変わることがあります( Q の小さな広帯域のフィルタで顕著です).SpiceのAC解析で特性を確認されることをおすすめします. インダクタにタップをとっていたり,2次巻線を用いるような場合は,終端抵抗値は実際の値に巻数比の2乗を乗算したもの(i.e. \(n^2 R_\text{actual}\))を指定します.例えば1:3でステップアップしているのでしたら\(3^2R = 9R\)を入力します. こちらのリンク を開いてお使いください. ライセンスは CC BY-NC-SA 4.0 International です. 【文献】柳沢健,神林紀嘉,フィルタの理論と設計,産報出版,1974  AR de JH5ESM VA